16章 帰国の渡

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・ ザイードはそんな愛美に徐々に溺れ始めていた。 ザイードの指が愛美の衣服をゆっくりと剥がしていく── 唇を肌に滑らせながらすべての布を取り去ると、ザイードは思わず熱い溜め息を溢し目を閉じた。 急に迫った胸の高鳴りに息が詰まりザイードは苦し気な表情を見せる。 その熱を抱えたまま、ザイードは身に纏っていた白い装束を脱ぎ全裸を晒した── 「昼間の淫靡な行為は背徳だ──…」 「───」 「だが目的が有れば陽の神は祝福をくれる──」 「………」 ザイードはそういって愛美に熱い肌を重ねて耳元で囁いた。 「マナミ──…愛してる…俺の子を身籠れ──」 「───…」 そのまま肩に口付けたザイードの言葉に愛美は目を見開いた── 身籠る…… それは一体どういう意味なのだろうか── そう思いながら愛美の瞳に涙が浮かんだ。 沢山の愛を囁きながら、ザイードの激しい唇が愛美の全身に注がれる。 「…っ…マナミ──……愛してるっ俺の妻になれっ…」 そういって抱き締めてきたザイードの方がとても苦しそうだった……
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