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「まあいい、最後の送別会だ。好きにやらせよう……」
諦めたようにため息を吐く。愛美はそんな二人に訪ねた。
「ターミルは今から何をするの?」
「見ていればいずれ始まりますよ」
アレフはそう言って運ばれてきた料理を皆に回す。
「マナミは初めて見るっ? ターミル様の酔剣?」
「スイケン?」
セナに聞かれて愛美はゆっくり頷いていた。
「中々面白いぞ、サボテンで踊るのは俺も初めて見るが──…新しいバージョンか?」
アサドはくくっと笑いながら皿の上の料理に手を伸ばしていた。
面白いのならと、愛美は何気に楽しみな表情を浮かべて皆を眺める。
「送別会か…」
小さく日本語で呟いていた。
最後にこんなことをして泣かすつもりでも居るのだろうか──
泣いたらなんか悔しいな……
そう思いながら料理を皿に取り分けるセナと目があった。
セナはフフッと愛美を笑った。
「なに? もう泣くの」
「……っ…泣かないよまだっ」
涙を浮かべた愛美を見て笑い、皿の上に目を向けたセナの方が先に溢れた涙を拭った──
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