16章 帰国の渡

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・ 「まあいい、最後の送別会だ。好きにやらせよう……」 諦めたようにため息を吐く。愛美はそんな二人に訪ねた。 「ターミルは今から何をするの?」 「見ていればいずれ始まりますよ」 アレフはそう言って運ばれてきた料理を皆に回す。 「マナミは初めて見るっ? ターミル様の酔剣?」 「スイケン?」 セナに聞かれて愛美はゆっくり頷いていた。 「中々面白いぞ、サボテンで踊るのは俺も初めて見るが──…新しいバージョンか?」 アサドはくくっと笑いながら皿の上の料理に手を伸ばしていた。 面白いのならと、愛美は何気に楽しみな表情を浮かべて皆を眺める。 「送別会か…」 小さく日本語で呟いていた。 最後にこんなことをして泣かすつもりでも居るのだろうか── 泣いたらなんか悔しいな…… そう思いながら料理を皿に取り分けるセナと目があった。 セナはフフッと愛美を笑った。 「なに? もう泣くの」 「……っ…泣かないよまだっ」 涙を浮かべた愛美を見て笑い、皿の上に目を向けたセナの方が先に溢れた涙を拭った──
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