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アサドに頼み用意してもらった軍の輸送機。それを前にしてザイードは愛美をもう一度抱き締める──
そして腕を離すと愛美の頭にふわりと紫色のベールを被せた……
「………」
愛美は目を見開いていた。
「これ……」
そして小さく呟いてベールの布端を摘む。
「前にお前に合わせた物だ──」
「………」
「邸に着いて直ぐに仕立てに出した──…間に合って良かった…」
そう言って、ザイードは見たこともないような微笑みを見せた。
驚いた表情をゆっくりと崩し、はにかんだ瞳が微かに涙で曇る。
ザイードは涙を堪えて頬を震わせる愛美の肌を優しく撫でて愛美の手を取る。
そして青い大きな石の付いた指輪を自分の中指から抜くと愛美の親指にはめ込んだ。
たとえ親指でもブカブカだ──
ザイードはそれをはめたまま愛美を見つめてその指先に口付けた。
「大事な物だ──」
「………──」
「マナミに預けておく──…」
「───…」
「必ず迎えに行くからそれまで失くさぬように頼んだぞ──」
「………っ…」
言われて愛美はその指輪を見つめた。
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