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「セナが泣いてるじゃんっ…」
「泣いてないわよスパイスが目に飛んだのよっ……っ」
言いながら皿の果物にナイフを入れている。
果物のどこにスパイスが付いていると言うのだろうか?
涙を流して口を歪めながら果物を切り続ける。
愛美はそんなセナを見てやっぱり泣き始めた。
「…っ…あんたもスパイス飛んだの!?」
「…っ…飛んだよ、セナがそんな豪快に切るからっ」
唇を噛み締めながら何故か喧嘩腰で訴え合い泣いている──
アサドとアレフは女同士のよくわからない友情のやり取りに苦笑いを浮かべていた。
「──…っ二人とも最後の日に泣くなようっぅ……っ…」
「……──」
「……っ…」
ガタガタっといきなり椅子から立ち上がる。驚くセナと愛美に向かってそう叫んだアーキルが一番顔を泣き崩している。
盛り上がっているのかよくわからない──
そんな食卓の開かれる居間の隅から奇妙な歌声が聞こえてきていた……。
曲を奏でる者が居ない代わりにターミルが自作曲の歌を歌いながら舞い初めた。
「とうとう始まったか…」
アサドがやれやれと呟きながら口にした。
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