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こんな意地悪な男をあたしは知らない──
たぶんこの先もずっと…
こんなに意地悪で魅力的で大好きになってしまった人をあたしは一生忘れずに生きていくんだ──
ターミルの舞いに居間では笑いの渦が吹き荒れる。
愛美は泣いた──
それこそとても豪快に笑いながら思いきり泣いていた。
日本から遥か彼方にある砂漠の国──
渇いた砂
灼熱の太陽
そこで暮らす人々はとてもとても温かく
焼き付ける太陽の熱とは違いほんとに穏やかだった。
わたしはこの国にこれたことをとても誇りに思う。
そして、もし叶うなら──
また…
またあの地へ足を着けてみたい──
厳しくも美しい自然と共存する民。
そこへ行けば何が大事で何が確かなものなのか──
自ずと見えてくる気がしてならないのです。
できれば皆にこの国の素晴らしさを伝えていきたい──
わたしはその使命を背負う為にこの国を旅先に選んだのではと思うのでした──。
木下 愛美
「……まる。っと」
「何を書いてる?」
「え、」
飲み物を手にした風呂上がりのアサドが声を掛けてきた。
ノートを手前にしてうつ伏せでベッドに横たわる愛美の近くに腰かける。
「帰ってからのレポートを簡単にまとめて置こうかと思って……」
「どんな内容だ?」
アサドは覗き込んだ。
「───…全く読めん…」
日本語の羅列を目にして解読を諦めたアサドに愛美は思わず笑っていた……。
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