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整備途中の空港への道路はまだ土が剥き出しの路だ。
道路を埋める車は走る度に土埃を巻き上げる──
人々の脚が馬や生き物から機械に変わる。
整備が進められる中、土埃が立たなくなっていく変わりに次は排気ガスなんかが溢れるんだろう──
何かを得れば何かを失う──
知らずの内に物事は常にそれでバランスを取っている。
それは人間でも然り──
「おや、ザイード様──…まさか一睡もされて居ないので?」
朝の日射しが差し込む早い時間だった──
そっと居室に置いてくる筈がベッドに腰掛けたままのザイードを目にしてアレフは声を掛けていた。
アレフは手にしていた物をテーブルに置いた。
ザイードはアレフと目を合わすことなく一点を見つめたまま、声を掛けてくる。
「それはなんだ──…」
「ザイード様が仕立てに出されていた物で御座います──」
「───…」
「品物が届いたとセナから連絡を貰い昨夜持ってきてもらいました──…」
ザイードは思い出したように腕を伸ばし、アレフはその手に渡す。
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