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誰もが、どうしてこんな事になったのだろうと思う。
無為と思える時を過ごしながら。
粛々と並びを乱す口実も無く、言葉少なに歩みを進める。
遅々として進まぬ流れに歯痒さを覚え。
それでも、何処にも悪はないのだと我慢を重ねて。
静かに、祈る気持ちで一歩を踏み締め。
皆が胸の内に、同じ思いを隠す。
そろり、そろりと、時間の経過と共に覚える切羽詰まった気配と息苦しさ。
時に顔を赤らめ歪める者も、切な気に体をよじり苦しさに耐えている者もいるけれど。
誰もが均衡を破る無礼を恐れて、只、己の番が来るのを待つのだ。
けれど均衡は、暗黙の了解は、突如破られる。
悲痛な声に因って。
「お母さん、もれちゃうよお」
「あ、御先にどうぞ」
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