第一章 1

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 放課後。  外では、雨と風が台風のように吹き荒れている。  俺は担任から言い渡された『新入生の進学希望アンケート』を、教室で集計していた。  ついさっきまで脇田と西山が手伝っていてくれたのだが、剣道部の先輩から呼び出しがかかり、ごめんなの一言を残して練習に走って行っちまった。  友情よりも部活。  あいつらは気持ちいい位、割り切っている。    仕方がない。  俺達の通う西高等学校は、周辺の高校と比べるとスポーツに力が注がれているのだから。  他県から優秀な生徒をスカウトし、育て、県大会優勝を総なめにしていく手腕を、各部活の顧問や部長が持っている。    当然、先輩後輩の上下関係は厳しくなる。  俺の親友達は熱血スポコン的な青春がお好きなのだ。  こちらとしては、到底、理解できないが。  そう言や、向井も他県組だったな。  確か、岐阜?   いや、味噌カツが有名なところだっけ?   つうことは、滋賀?   てか、近畿と東海ってどう違うんだ?
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