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「あーあ、俺の負けだな。じゃ約束だから、島ノ江の願いを叶えてやる。言ってみろよ」
「あっあのね私…………。ちょ、ちょっと待って!私もトイレに行かせて!!」
もう、我慢できない!!
「まさか、願いが『トイレに行かせて』だとはな。せっかく俺がお前の願いを叶えてやるってのに……」
「え……そんな……」
私の本当の願いは、そんなんじゃないのに。
どうしてこうなっちゃうの!?
「でもさ、俺実はズルしたんだ。本当は俺、まだトイレ行かなくても平気だったんだ。でもお前が一生懸命に尿意を我慢してるの見てたら、負けてやりたくなって。だから本当は俺が勝ってたんだ」
え、そうなの?
私に勝たせてくれたのは私の願いを叶えてくれるつもりで?
それなのに私ったら……『トイレに行かせて』だなんて。
「勝負はやっぱりズルしちゃだめなんだよ。だから今回は広崎くんの勝ちってことで、私が願いを叶えるよ。広崎くんの願いってなに?あ、でも私が出来る事にしてよね!」
「それじゃ、思い切って言う!ずっと前から言いたかったんだけど、こんな機会でもなきゃ言い出せなかった。俺、島ノ江の事ずっと好きだった。俺と付き合ってくれないか?」
う、嘘ぉ!?
「……いいよ。願いを叶えるって約束だもんね。付き合ってあげる!」
広崎くん、本当は私の気持ちにも気づいてたんじゃないのかな。
だから私から言わせようとして、わざと負けたフリしたんじゃないの?
それなのに私がミスったから、あんな風に自分から言ってくれたんだよね……。
「広崎くん、意外とデキる?」
「は?何言ってんだ。俺もう、我慢できなかったんだ」
もしかしたら残業だってわざと私に手伝わせようと仕向けたの?
デキる男なのか、とぼけてるだけなのか……。
そんな広崎くんのこと、私だってずっと好きだったんだからね。
END
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