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「今日はうちに泊まらないか?」
九月の初め、三度目のデートの帰りに高之は車中で唐突に切り出した。
名目の『デート』は三度目ではあるものの、幼馴染みという流れからしたら二十年余りになるわけだが。
朝陽は反射的に、咄嗟に断った。
考えてみれば高之には普通な流れだったのかもしれない。
それでも、それまで繰り返してきた関係と同じように、自分も軽んじられた気がしたのだ。
結果、その発言後の帰路の車中では罵詈雑言が飛び交った。
いつもそんな手口なのか。何年我慢させられてきたと思っているのか。
恋愛初心者相手に大人気ないのではないか。
思考がお子様すぎる。
そこら辺の女と同じ扱いをするな。
付き合うという定義がわかっていない。
定義なんてバカバカしい。
好きな人と触れ合いたい気持ちを理解していない。
触れ合うって?
「だからそれやりたいだけじゃねえの?!」
「泊まるイコール、セックスとは限らないだろうが」
「嘘つけよ!泊まれって言って何も無い訳ないじゃん」
「……あわよくばってのは当たり前だろ!」
「開き直りやがって、もうちょっと俺の身にもなれよ!気持ち受け入れてキスすんのにやっと慣れたとこでキャパが」
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