陽炎に揺らぐ〈不協和音〉
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流れ落ちた涙をそのままに、高之の首に腕を回す。 もしも誰かに見られても構わなかった。 応えた高之の手の平が、背中から強く抱え込む。 「まだ考える時間はたっぷりあるし、俺も一緒に悩むよ。だからもう泣き止むこと。フロア入るんだろ午後から」 「……昇兄にはまだ謝んないよ……」 たまにはいいよと言って、鼻を啜った朝陽にポケットティッシュを渡して高之は背中で笑った。
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