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側に行き腰を落とし呼びかけた。レオはゆっくり体を起こす。顔が紅潮してる。微妙に涙目だ。熱でもあるのかと額に手をあてた。
「体調悪いのか?」
「だ、大丈夫、です!」
プイって顔を背けられた。何だこの態度。昨日までと違う。本当に様子がおかしい。
「歩いて疲れたとか?部屋で休むか?」
手を握り立たせた。まだ顔を背けるレオ。疲れてる感じでも無いな。歩き出すと抵抗せず付いて来る。手を繋いでも文句も言わないなんて。何かあったのか。…鏡で?
「鏡の前でどうした。痩せ細った自分に驚いたか」
レオはそういう事にしておこうと思った。美少年っぷりに驚いたとは言えない。
「…そう、デス」
「食べて肉が付いたら戻る。大分良くなったんだ」
「…う、うん 」
「レオは元気になっただろ。もう少しだ」
「そ、そうだね」
素直だ。フィルはレオの顔を見た。少し俯き加減で軽く笑っていた。何だレオ。本当に変だ。もしかしてこれが素なのか。…可愛いな。口にすれば怒りそうだ。
フィルは嬉しそうに手を離さずレオ専用にした客室に向かった。
「はは。この人形達はルースか」
部屋のぬいぐるみを見てフィルが驚いた。
「好きなのか?」
「可愛いとは思う。趣味じゃない。好きじゃない」
「ルースに嫌って言えばいい。ほら座って」
レオは、新しく増えたベロアソファーに腰を落とす。
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