これでおしまい

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所有する建屋が古くなり、修繕か売却かと商談に足を運ぶ。早いものだ。ここも百年超えたか。 「あそこにあるのは死体ですか」 建屋外周を査定をしていた商人は言った。あそこですよと指し示した。 荒れた花壇にある小さなそれを見た。近くに寄る。十歳以上の子供か。横向きに身体を丸め地面に転がっていた。商人は孤児でしょうか。犯罪性でもあったら嫌ですねと、子供を確認する。 「人の敷地で迷惑だな」 「あ。息があるようです」 「これで生きてるのか」 髪はもつれて固まり、服も土か何かの染みや破れが目立つ。肌は全体的に黒ずみ鬱血や擦り傷もあるようだ。汚れと臭いも凄いが、これは細い。親でも亡くして飢えたのか。 「どうします?外に捨てるか、孤児院のある教会に運ばせますが」 路上か孤児院か。思わず着ていた毛皮のローブを使い包み抱き上げた。軽い。軽すぎるな。脱力仕切った子供をみる。 「連れて帰る。ここは売却でいい。頼んだ」 「あぁ。はい。承りましょう」 高額な毛皮のローブと子供を見比べた商人は何とも微妙な顔をした。 「少しずつ栄養を。摂れないならそれまでかな」 「そうか。世話をかけたな」 「まさか貴方が看るんですか…」 「子供一人くらい、暇潰しにいいだろ」 「またそんな気紛れを…」     
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