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アンフィルはレオの混乱を余所に優しく抱き締めた後、再び腕を引き城跡に向かい歩き始めた。
着替えてからフィルに連れて来られたのは、帝都時代の城跡だ。
石造りのそれは所々は崩れ原型を留めず、崩れ消え行く場所もあった。
高台にあるそれは、遊歩道となっている道で簡単に来れた。
階段になっている所に腰を下ろしてフィルは話し始めた。俺もその隣に座った。
「レオ、一族以外の変化は本当に知らなかった。不確かという答えは不満だろうな。俺はそれでいいと思ってる」
「……旅の意味が無いよ」
「すっきりしないからな。俺はレオが側にいればそれでいい」
「え」
俺が思ってた事と同じだ。フィルが俺と同じ気持ちだってこと?
「何があっても一緒にいたいんだ。何かあれば俺もバルもいる。それで良くないか?」
「……最初言ってた事と違う」
「そうだな。お前の一生を壊したと、変えてしまったと思ったんだ。だから知るのは大事だと。必要だと考えた」
「執事になった事で変わったよ。今更だ」
「そうか。変化は不確か。それは俺とバル、ルースで何かあれば対応する」
「……うん」
フィルは遠くを見ていた。
「側にいてくれるか?」
「え?うん」
「一生だぞ」
「バルみたいに歳とっても執事でいたい」
「ははっ、それでいい」
「一緒にいたいよ」
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