ジョシコーセーは金になる

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ジョシコーセーは金になる

 幼いころ、近視と遠視の区別が曖昧だった。  どちらがどちらだかよくわからなかったのだ。  漠然と、肝臓が悪いから肝臓病、心臓が悪いから心臓病という感覚で捉えて、近視(病)といった具合に、近くを見るのに不都合がある状態を指して近視というのだと思っていた。  いざ自分がなってみて初めて実感できた。ちょっと離れた看板が読みづらくって敵わないのだ。  もっとひどくなると夜景がぼやけてロマンティックが止まらないらしいが、俺だけロマンティックに浸ってもしょうがないし、そもそも浸る気もないので、眼鏡を買おうと眼鏡屋に来たわけだ。  店員に声をかけられる前に、ざっと店内を一周して出てきた。  眼鏡たっっっっっっっけえ!!  内心では叫んだが俺の口は「たっけえ……」とつぶやいただけだった。  猫も杓子もかけているからもっと安価だと思っていた。  十連ガチャを三回は引ける。眼鏡なんかやめだやめだ。  大学に通いつつバイト代のほとんどを注ぎこんだスマホゲーを起動する。俺がハマっているのはマイナーなタイトルだから、バイト代を注ぎこんだだけでランキング上位に食い込めるのだ。いつサービスを終了するかはわからなかった。
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