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彼のとなりに膝を寄せた。 持っていたチラシをすっと取り、彼のその手を握る。 「そうじゃないの。潤いって……ね。こういう潤い……ってこと」 その手を私の頬に押し当てた。 こんなに間近で視線を交えるのは……いつ以来か。 彼の指が、ぎこちなく私の唇に触れる。 心地良い。 大好きだった。 この指が。 夫婦なのに、まるで付き合いたての中学生のように、私の頬は熱を帯びた。 たまにはこんな日も、欲しくなる。                     了
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