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透子の父親は、彼女が生まれてすぐに罪に問われ服役を余儀なくされた。
それについては、詳しくは聞かされていない。知りたいとも思っていないのだから、透子もまた誰にも訊かないでいた。
だだ、家族を守るためだったと言われれば、素直にそれを信じてきた。素直はいい。誰からも愛されていられる。
いつか話すと言った父なら、さっさと自分を置いて旅立つし、母なんて何処で生きているのかも解らない。
服役を終えた日は雨。
透子の耳に聞こえたそれらは、あの日の記憶が呼び起こしたのだろうか。
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