【1】美しき片想い

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保健室から先生が出て行くと、私と転んだ子の二人きりになった。 シーンと静まり返る保健室。 結局先生が誰なのかわからなかった。 声を聞く分には心地がいい低音。 そしてその先生が褒めた子がどんな子なのかも興味が湧いて、私はそうっとカーテンの隙間から覗き込んだ。 「きゃっ!!」 「ぎゃっ!!」 すると大きな黒々とした瞳。 目の前に彼女の顔があった。 私たちは二人して同じ事を考えていたようだ。 「へえ…、意外。」 「わあ…、日本人形みたい…。」 同時に発するそれぞれの感想。 「よく言われる。口が悪い日本人形って。」 「フフ…、何それ。」 「それにしても一(にのまえ)さんがそんなキャラだったなんてね。ウケる!」 そう言って彼女は涙の跡を残したまま、アハハと可愛いエクボを作って笑った。 .
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