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保健室から先生が出て行くと、私と転んだ子の二人きりになった。
シーンと静まり返る保健室。
結局先生が誰なのかわからなかった。
声を聞く分には心地がいい低音。
そしてその先生が褒めた子がどんな子なのかも興味が湧いて、私はそうっとカーテンの隙間から覗き込んだ。
「きゃっ!!」
「ぎゃっ!!」
すると大きな黒々とした瞳。
目の前に彼女の顔があった。
私たちは二人して同じ事を考えていたようだ。
「へえ…、意外。」
「わあ…、日本人形みたい…。」
同時に発するそれぞれの感想。
「よく言われる。口が悪い日本人形って。」
「フフ…、何それ。」
「それにしても一(にのまえ)さんがそんなキャラだったなんてね。ウケる!」
そう言って彼女は涙の跡を残したまま、アハハと可愛いエクボを作って笑った。
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