【1】美しき片想い

15/30
前へ
/452ページ
次へ
「私の事知ってるの?」 「知ってるも何も有名人じゃん。 首席で入学したクールビューティーってね。」 「……。」 「私は四宮 透子、よろしくね!」 日本人形のような和美人の彼女は、見た目と違って明るくハキハキしている。 まるで失われた昔の自分を見ているようで、どうしてか正直羨ましくなった。 「絆創膏だらけだね…。」 私は自分の自己紹介は不要だと思い、何となく話題を変える。 彼女は気分を害したわけでもなく、私のその言葉に屈託なく笑うと、肘と膝の絆創膏をジャーンと得意気に見せてきた。 「青春を満喫してる証拠!」 私は思わずブハッと笑ってしまった。 彼女の性格は本当に可愛らしかった。 「私たち友達になれそうじゃない?」 一緒になってクスクスと笑う彼女。 「そうだね。私四宮さんの性格好きだわ。」 「じゃあ苗字だと堅苦しいから透子って呼んで。私は愛って呼ぶからさ。」 「うん!」 高校生になって初めて友達ができた。 .
/452ページ

最初のコメントを投稿しよう!

252人が本棚に入れています
本棚に追加