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だけどぼんやりと輪郭だけが浮かび上がるだけで、顔の詳細までは思い出せず、今まで数学の時間をどうやって過ごしていたんだろうと、そこから疑問だった。
翔ちゃんだけしか目に入らない。
これだけは昔から変わらない。
「じゃあ私は緑ブロックだから。」
「うん、じゃあね。」
私は緑ブロックへと歩いていく透子を見送りつつ、宇佐美先生の姿を探す。
朧気なフォルム。
そんな記憶でどうやってこの中から宇佐美先生を見付け出すのか。
その日、結局私は宇佐美先生を探し出す事はできず、きちんとこの目で捉えたのは後日、やっぱり数学の授業での事だった。
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