252人が本棚に入れています
本棚に追加
「別れよう…。」
翔ちゃんの口からこれを聞くのはもう何度目だろう…。
「いや…。」
だから私も何度目かもわからない拒絶をする。
「いや…、いやだよ…。」
翔ちゃんいやだ…!
私はその度に涙が滲んでは落っこちて、絶望の中を彷徨う。
翔ちゃんはその間私の顔をじっと見てはいるけど、結局私なんか見てない。
翔ちゃんは何も見てない。
だけどこんなにも苦しいのに抜け出せないのは、それは私が翔ちゃんに依存しているから。
ずっと好きだった。
ずっと。
私の初恋。
それは私が終わらせる事のできない初恋。
だって叶わない愛こそ美しいものはないから。
ねえ…、宇佐美先生。
私は先生の涙を見てそう思ったんだよ。
.
最初のコメントを投稿しよう!