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わからない…。
透子と話した後、私はずっとずっと考えていた。
春休みの間ずっと。
生徒会の仕事で春休みも生徒会室にこもりっ切りで、何かと忙しかったけど、頭の片隅にはいつも自分の経験の低さ、というよりかは未経験という不安材料が転がっていた。
「経験値…か。」
「は?何?」
「あ…、今私声に出してた?」
「思いっ切り。」
「うわ…、ごめん。聞かなかった事にして。」
呆れ顔の相沢くんを前に、私はペコペコと頭を下げる。
「意外…、会長でも悩みなんかあるんだ。」
「……。」
生徒会室で副会長である相沢くんと二人きり。
「経験値って何の経験値?」
「だから聞かなかった事にしてって…、」
「俺が経験させてあげよっか?」
「……。」
どういう状況なんだかわからないうちに、チャンスが目の前に転がって来た。
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