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やっぱり心地のいい低音。
「さようなら…。」
私は振り返ってその背中に同じ言葉を返した。
宇佐美先生とは殆ど会話らしい会話をした事がないけど、その柔らかなオーラに安心感がある。
先生のその隙のないメガネが、七三に整えられた髪型が、全身で教師でありたいと願っているかのように、私に絶対的な教師像を植え付けた。
もし先生が初めての相手だったら…?
翔ちゃんと同じ教師であり、大人な彼に全てを委ねてみれば、何かが変わるかもしれない。
この考えこそ安易で幼稚、だけどこの時の私は気付かなかったんだ。
無邪気とは時に人を傷付ける。
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