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だからそんな事があっての翌々日の入学式、私は張り切って鏡の前に居座っていた。
生徒会長である私は、在校生代表の祝辞の挨拶を新入生に贈る。
その為のスピーチを何度も読み返したし、スカートはクリーニングから戻って来たし、いつもより念入り且つ丁寧にスカーフを結んだ。
キリリとセーラー服に身を包んだ私は、学校以外で翔ちゃんに会わないように早々にバスに乗り込んだ。
ドキドキと胸が弾む。
私を見た翔ちゃんの顔が楽しみだった。
初々しい新入生が体育館に着席し、いよいよ入学式が始まる。
翔ちゃんは黒のスーツに身を包み、静かに教諭席に腰を下ろしていた。
私はその姿を心の中でカッコイイとほくそ笑み、全く気付く様子がない翔ちゃんに満足していた。
「祝辞の言葉。在校生代表、一 愛(にのまえ あい)。」
「はい!」
いよいよだった。
私はピシッと姿勢良く壇上へと上がっていく。
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