【1】美しき片想い

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「翔太郎、早く部屋に行こうよ。」 彼女の甘ったるい声。 別に聞き耳を立ててるわけじゃないけど、気になる声はどうしても聞こえちゃうんだから仕方ない。 百瀬 翔太郎。 通称、翔ちゃん。 私ん家のお隣に住んでいるイケメン過ぎるお兄ちゃん。 サラサラの髪の毛に長いまつ毛。 背が高くてすごくカッコイイ。 まるで王子様みたいな翔ちゃん。 だから翔ちゃんの隣にはいつもいつも女の子がいる。 私とは違う大人っぽくて綺麗な女の子。 私は翔ちゃんが彼女と家に入るのを見届けると、すかさず外に飛び出す。 家の塀に向かってサッカーボールをひたすら蹴りまくって時間が過ぎるのをただ待つんだ。 いくら小学6年生の私でも、翔ちゃんが部屋で彼女と何をしてるのか知ってるから。 早く大人になりたい。 早く翔ちゃんに追い付きたい。 早く早く早く!! 願う事はいつもいつも決まっていた。 .
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