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「翔太郎、早く部屋に行こうよ。」
彼女の甘ったるい声。
別に聞き耳を立ててるわけじゃないけど、気になる声はどうしても聞こえちゃうんだから仕方ない。
百瀬 翔太郎。
通称、翔ちゃん。
私ん家のお隣に住んでいるイケメン過ぎるお兄ちゃん。
サラサラの髪の毛に長いまつ毛。
背が高くてすごくカッコイイ。
まるで王子様みたいな翔ちゃん。
だから翔ちゃんの隣にはいつもいつも女の子がいる。
私とは違う大人っぽくて綺麗な女の子。
私は翔ちゃんが彼女と家に入るのを見届けると、すかさず外に飛び出す。
家の塀に向かってサッカーボールをひたすら蹴りまくって時間が過ぎるのをただ待つんだ。
いくら小学6年生の私でも、翔ちゃんが部屋で彼女と何をしてるのか知ってるから。
早く大人になりたい。
早く翔ちゃんに追い付きたい。
早く早く早く!!
願う事はいつもいつも決まっていた。
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