252人が本棚に入れています
本棚に追加
どうして気付かなかったんだろう。
家から通えない距離でもないのにアパートを借りた翔ちゃん。
彼女と同棲する為だったんだ…。
ホントに何で気付かなかったんだろう…。
ポタポタと涙が落っこちて、私はアパートから逃げるように立ち去った。
勝てない…。
どう考えても勝てる筈がない。
こんなボサボサの髪で、子供っぽい私では、翔ちゃんが本気で相手にしてくれる筈ないのに…。
私は自分のバカさ加減にようやく気が付き、それからは翔ちゃんを避けるようになった。
もうこんな惨めな想いはしたくない。
その想いが私を占領し、私はバカみたいに大人ぶった。
髪を伸ばし、感情的な自分を押し殺し、ひたすら勉強した。
外見を磨き、知識を付ければ大人になれると信じて、ただそれだけに打ち込んだ。
そして季節は流れ、私は高校生になった。
.
最初のコメントを投稿しよう!