【1】美しき片想い

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どうして気付かなかったんだろう。 家から通えない距離でもないのにアパートを借りた翔ちゃん。 彼女と同棲する為だったんだ…。 ホントに何で気付かなかったんだろう…。 ポタポタと涙が落っこちて、私はアパートから逃げるように立ち去った。 勝てない…。 どう考えても勝てる筈がない。 こんなボサボサの髪で、子供っぽい私では、翔ちゃんが本気で相手にしてくれる筈ないのに…。 私は自分のバカさ加減にようやく気が付き、それからは翔ちゃんを避けるようになった。 もうこんな惨めな想いはしたくない。 その想いが私を占領し、私はバカみたいに大人ぶった。 髪を伸ばし、感情的な自分を押し殺し、ひたすら勉強した。 外見を磨き、知識を付ければ大人になれると信じて、ただそれだけに打ち込んだ。 そして季節は流れ、私は高校生になった。 .
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