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私立の進学校。
私はそこに首席で入学し、華々しく高校デビューを果たした。
小中での男っぽい私はいない。
もういない。
サラサラの黒髪ロング。
長い手足。
身長だって胸だって成長した。
誰が見たってもう大人。
私はあの頃の翔ちゃんに追い付いたんだ。
「一(にのまえ)さん。一 愛(にのまえ あい)さん。」
「はい。」
私は自分の名前を呼ばれて上品に立ち上がった。
今は数学の時間で、ついこの間の中間テストの解答用紙が返却されている。
「よく頑張りましたね。」
「ありがとうございます。」
私はニコッと余裕の笑み。
先生からテストを受け取ると、満足気に席に着いた。
この時の私は先生の顔すらまともに見てはいなくて、ただただ自分に酔いしれていた。
今なら翔ちゃんに会える。
そんな自信が湧き上がっていた。
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