【1】美しき片想い

8/30
前へ
/452ページ
次へ
私立の進学校。 私はそこに首席で入学し、華々しく高校デビューを果たした。 小中での男っぽい私はいない。 もういない。 サラサラの黒髪ロング。 長い手足。 身長だって胸だって成長した。 誰が見たってもう大人。 私はあの頃の翔ちゃんに追い付いたんだ。 「一(にのまえ)さん。一 愛(にのまえ あい)さん。」 「はい。」 私は自分の名前を呼ばれて上品に立ち上がった。 今は数学の時間で、ついこの間の中間テストの解答用紙が返却されている。 「よく頑張りましたね。」 「ありがとうございます。」 私はニコッと余裕の笑み。 先生からテストを受け取ると、満足気に席に着いた。 この時の私は先生の顔すらまともに見てはいなくて、ただただ自分に酔いしれていた。 今なら翔ちゃんに会える。 そんな自信が湧き上がっていた。 .
/452ページ

最初のコメントを投稿しよう!

252人が本棚に入れています
本棚に追加