快紗瑠さんの手紙

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 父さんへ 私、ずっと嫌いだったよ父さんの事。 こんな奴人間じゃないって思ってた。 どう見たって考えたって、毎日毎日人間ましてや親父みたいな行動してくれてなかったし、母さんが亡くなった時なんて、正直いなくなれば良いのにって思った。 でもさ、ごめん、このあいだ見てしまった。 触れるだけでブチ切れて暴れる程に守ってた引き出しを。 何だよ、最低な父親は演技だったのかよ。 何だよ、傲慢な態度は照れ隠し故だったのかよ。 何だよこの日記帳、何だよ殴り書きみたいな謝罪の言葉。 何だよたった一枚しかない家族写真隠し持って。 こんなもの、口に出さなきゃ伝わらねぇんだよ。 今更許してなんてやるもんか。 今更仲直りなんてしてやらないからな。 精々あの世から残された家族を守ってくれよな。 一人でどうにでもなれって思ってたけど。 結局ずっと、守ってくれてたんだな。 ありがとう
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