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「江戸に着いたら美味い飯も女も食えるな」
「おい!俺達は遊びに行くんじゃないんだぞ!」
飯はともかく、女と言う言葉に過剰に反応する大樹、その理由には訳がある。
「大樹、お前のその女嫌いはなんとかならんのか?」
「岩屋さん、余計なお世話だ!女なんて遊びだけで充分だ」
岩屋と荒井は大樹が何故女嫌いなのか知っている、それは大樹が十五、十六歳の頃だった。
渋江家の女中が大樹に好意を持ち近づいた、その女は大樹よりも五歳年上で、ほっそりとした身体付きの目の細い女だった。
だが、この女…実は恋仲の男がいる、それにも関わらず大樹に言い寄り関係を持とうとした為に、恋仲の男が道場に殴り込んで来た、真剣勝負となり大樹はその男を斬った。
人を斬ったのはこれが初めてだった、女は渋江家から追放され行方知れず、それ以来大樹は女を避けるようになっていた。
「勿体ねえよな、これだけ色男なんだから女にゃ不自由しねえだろうに」
「無駄口叩いてないで早く行こうぜ!相楽さんが待ってる」
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