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太陽の言葉を聞いていると風は勇気がわきます。
太陽は続けます。
「山も海も植物も動物も僕もみんながいるから生きていられる。そりゃあ、みんなヘマすることはあるけど、寒いのは君だけが悪いわけじゃない」
風は、力強くうなずきます。
「僕、まだ生まれたばかりの風だから、分からないんだ。太陽さん、もっと僕にお話教えて!」
太陽はにっこりと笑ってさんさんと輝きます。
「もちろん。さぁ、南から町に言ってごらん。人々は、温かい風に穏やかになるから」
太陽は、そう言うと風は喜んで街へと吹いていきました。
太陽に月が笑いかけます。
「お主も毎年、泣き虫の赤ん坊の風の相手に大変だな。今年もあたらしい風が吹く。そんな季節なのだな」
月に太陽は、にっこりと笑います。
「何億年も同じ事をしていると思うけど、あたらしいものを見るのはやはり嬉しいよ」
月と太陽が宇宙で話している間に風は街にたどり着きました。
今年の春一番が、街に届いたのです。
おわり
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