手紙

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爪を研げば、あの月の光など、たやすく剥がせるだろう。 ねじり、ひねり、燃やして、灰に。 それをため息で飛ばし、闇の膜に貼り付ける。 月にかざした刃の先から滴るものは、凍てつく叫び。 しのび足で近寄る夜風が、睫毛に乗り、青い光を放った。 雨音が天から響く。 罪。 雨だれは罪。 波しぶきをあげる船からは、笛の音が花弁のごとく舞う。 迎えに来たのだ。 私の首にあてられた刃の冷たさは、雪解けの水のごとく雫となり滴る。 夜が割れる。裂ける。破れる。 飛び散る。 溺れるほど赤い水たまりに。 底なしの水たまりに。 息を削りながら、もがく。 罰を、報いを。 生き絶えるまで離れない。 あなたに捧げる。 たった一人の娘の死を。 唯一の光が消える瞬間を。 目覚めたとき目にするのは、絶望。 絶望。
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