デジャ・ヴ

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しばらくして街のなかばまでやってくると、 まだ朝霧に包まれているその場所で大きく息を吸ったボクは、 眼を凝らすにはおよばなかった。 デジャ・ヴが手を握ってボクをとめた。 そのとなりにいつの間にか小さなジョジョが腰をおろしていた。 それからまた、 こちらをみつめては朝日のなかを、 ジョジョがもうしわけなさそうに腰をあげてこちらにやってきて、 ボクのとなりに座り直すなり頭をさげた。 ボクはジョジョがいつやってきたのか知らなかったけれど、 ジョジョのほうでも知らん顔で通した。 デジャ・ヴがなにか囁こうとしたとき、 黄金の朝日が、 ボクたち三つの命のまわりをくっきりと浮き上がらせた。 空の彩雲が遠くのむこうに照らしだ始めるのだ。
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