母への思い

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いつもた だ、私の顔を、ただ見つめるだけだった。その瞳に映っている自分の顔を見て私は母に何も言えずにただ、母を見つめる事しかできなかった。母の心臓は段々と悪化していった。 それが足が腐ると言う状態になっていった。心臓の悪い母は循環障害を起こしてしまった。体の血液の循環が悪く四肢の冷感が強く出るようになった。手の方は冷感だけで済んだが、足先は循環障害を起こしてしまい。血液が行かなくなり、腐ってきていた。母の足の指は外反母趾がきつく指が圧迫されてそこから皮膚が暗赤色から紫色そして黒色になり腐ってしまったのだ。外科的に足の指を2本切断したのだが、私はこの時医者の考えとして指を切断することに何の躊躇もしなかった。腐った足から感染を起こして敗血症になった方が命の危険があるのだ。指を無くすことよりも母の命が少しでも長らえる事に私は努力した。他人から見たら、冷たい息子だろうと思われるだろう。指を切断して「痛い痛い」という母を見て私は「仕方ないよ。母さん」と声をかけるしかできなかった。そんな母も何とか感染を起こさずに済み自力で食事をとる事が出来ていた。だが、母の心臓と肺の状 態が悪化して来ていた。ある日母の意識が低下しとの報告を受けて私の心臓は張り裂けんばかりに高鳴っていた。私はすぐに母のもとに駆け付け病状を見た。目の前の母は意識が混濁していた。私が呼びかけても返事は 返ってこなかった。私はそんな母を見て一瞬喉を詰まらせた。看護師からの報告により体内の酸素量が低下しているというのだ。私はすぐに血液ガス分析を行った。PO2が78%でPCO2が44%だったそしてpHの偏りにより低酸素状態でアシドーシスによるショック状態をおこしていた。私は看護師に血管確保を指示しメイロンの点滴を30分で落として補正をしていく。酸素も4リットル、マスクで開始する。そして母はもう食事を自分で取れる状態ではなくなった。私は看護師に胃管チューブを入れる様に指示したのだが看護婦から入らないと報告があり自分で入れることにした。この時メイロンの補正により母の意識は回復し私の事が解るようになっていた。
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