接触

6/6
47人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
心が跳ねる……心臓が爆つく……あまりの嬉しさに全身が震えて、身動きが出来なかった。 吐き出そうとする声も掠れて届かず、気持ちを落ち着かせる事も出来なくて、頭の中を整理する事が出来なかった。 お前が俺を好きだと言った。 友人としてではないと、言った。 同じ想いを感じてくれていた……聞き間違いじゃないのか? 思い違いじゃないだろうか? そう考えが浮かぶけれど、顔は緩み、胸が波打つ。 明日、お前に会って確かめよう。 俺の気持ちをお前に伝えよう。 ふわふわしたまま帰宅した俺は、翌日からお前と連絡が取れなくなるなんて微塵も思わず、「これっきり」の意味を思い知った時、 何故あの時行動に出なかったのかを悔やんで、虚無に囚われて泣いて過ごした。 忘れる……このまま、忘れ去られる……同じ想いだと知った瞬間、目に、手に触れる事が叶わないなんて……無理だ。 お前に伝えられず、伝わらずに終わらせるほど、俺の感情は半端なモノじゃない。 怖くて、動けなかった俺が悪い。 遅いかもしれない。 それでも、俺はお前を探しだし、この想いを伝えると決めた。 先の事など、知ったこっちゃない。 周りの事など知る必要はない。 俺はお前が好きなんだ。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!