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僕と君とは中学1年の夏前に出会った。
違うクラスだったんだ。
僕は引っ込み思案で友達も少なく、一人で帰宅する用意をして廊下に出た所だった。
当然、君から話掛けてくれたんだ。
「タッパあんのな。 何か部活やってる?良かったら俺とバスケしない?」
なんて、ただの勧誘の言葉だったけど、その時の君の誘いに何気なくのったのが切っ掛けで、僕と君は仲良くなった。
特に遣りたい事もなく、帰宅部だったし、僕より少し背の低い君が見上げるようにして、太陽のように明るく大きな笑みを見せる姿に目の前がチカチカした。
体育でしかした事のないクセに「うん」なんて答えてた。
たくさんのくだらない話をしたり、真剣に、必死になってボールを追い掛けたり……バカやって、笑いあって、ふざけて怒られて、1日の大半を君と過ごし、君といる事が当たり前で、君がいない事が無い日々をおくった。
頭の程度が似ていたから、君と同じ高校に進学するのに、問題もなかった。
けれど、高校に入って、僕は知ったんだ。
それまでだって、君が女子の中でよく噂されていた事は耳にしていたけど、高校に上がると、子供だった体躯が大人びて、顔付きも逞しく、周りの視線を集めるようになった。
そうでなくても君は人当たりの良い性格だから、男女問わず友人が多く、僕は君の傍にいる独活の大木、口数の少ない暗い奴程度の扱いで、輪の端にそっと存在していただけだ。
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