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「くっ…脚を…やっちまった…」
車はとうに走り去っていた。
静寂が戻った土手の下で私は途方に暮れた。
「…大丈夫…うっ!!」
大変だ。研ちゃんは立てない。
足首がみるみる内に腫れ上がっていく。
「もしかして…折れてる?」
「…らしいな…奈緒、真っ直ぐな枝を探して?…固定するから…」
研ちゃんは痛みで脂汗を流している。
私は急いで枝を持ってくると、研ちゃんの指示で枝を添えてロープを絡めた。
「…ぎゅっと縛るんだ。強く。」
「う、うん…」
ほんの少しでも痛い筈なのに研ちゃんはもっときつくと叫ぶ。
「…ごめんね…私がぼおっとしてたから…」
バッグを漁って痛み止めを飲ませてから彼の頭を抱き締めた。
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