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夜が明ける頃やっと彼が眠った。今までの疲れも手伝ったのか、ひどい熱を出していた。
私が持っているのは軽い痛み止めだけ。
一刻も早くお医者さんに見せなければ…
幸いにして小屋に人が来る気配が無かったから、私たちは数日をそこで過ごして研ちゃんが落ち着くのを待った。
私は持っていた服を裂いて彼の足を固定し直していた。ロープより肌に馴染み締めやすいからだ。
研ちゃんの足は酷い状態だ。
「でも行かなくちゃ。逃したらいつになるか分からないからな。」
熱が下がって思考力が戻った研ちゃんが言う。
農道をゆっくり歩いて行く。
後ろから荷馬車が近付いて来た。
私は思い切って馬車を御するおじさんに声を掛けた。
二人並んで荷車の最後尾に腰掛けて脚をブラブラさせた状態で揺られていた。
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