時の彼方へ

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おじさんが研ちゃんを気の毒がって乗せてくれたのだ。 研ちゃんは一生懸命に話をしてくれる。話していないと振動で足がもげそうだと笑った。 「時空の裂け目ってさ、波紋と波紋がぶつかって力が分散された時にできるんだよ。」 「波紋?」 「うん…煙の中を人が通ると空気の流れが渦を巻くだろ?人を地球、煙を空気と考えると?」 「…雲の流れ?」 「そう。同じように目には見えないけど『時』が地球の周りを回っていたら?」 「…渦を巻く…」 「うん。その『時の渦』同士がぶつかり合った時に地球の『時の流れ』がぴったり合うと地球上に裂け目が発生するわけ………奈緒は一秒の長さはいつも同じだと思う?」 「え?………うーん……楽しい時は短く感じるし辛い時は長く感じるけど……一緒でしょ?」 「違うんだなぁ!実際は長かったり短かったりするんだよ。地球はいつも同じスピードで回っている訳じゃないんだ。あの時みたいに彗星の影響とか、火山の噴火、地殻変動による地震、地球温暖化による異常気象…原因は多岐に渡るんだ。暦にもあるだろ?閏年とか閏秒…地球自体も生き物なんだ。いつか死滅する時が来る…だから僕たちは地球を大事に可愛がって長生きさせなきゃならないんだよ。」 「なるほど~。」 「そういったムラがある地球の回転と波紋がぶつかる瞬間がマッチしなければならない…どれだけ奇跡かが分かるだろ?」
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