時の彼方へ

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湖のほとりに立つ。 研ちゃんが苦労しながらバッグからノートを取り出して計算を始めた。 「奈緒、コンパス持ってくれる?」 「うん。」 私は渡されたコンパスを持ちながら辺りを見回した。 月明かりの青白い世界。 生き物が寝静まった湖はどこか不気味に静まり返り、風が湖面を渡り葦を揺らす。 「ここはね、トライアングルの真ん中なんだよ。」 「トライアングル?」 「鹿島神宮、香取神宮、息栖(いきす)神社…東国三社(とうごくさんじゃ)と言って直角三角形に配置された、東の伊勢と云われる神聖な場所さ。」 「わぁ~すごーい…」
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