時の彼方へ

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私たちは足下が悪い中を急ぐ。 研ちゃんが無理をしていた。 「研ちゃん!!無理だよ!!その足じゃ!」 「諦めるな!ここに残る訳にはいかないんだ!」 「分かった!頑張って!!」 縺れるように走った。 走って走って… 汗が滴り落ちる。 不安と緊張と疲れで心臓が飛び出しそうだ。 なんとしても元の時代に戻らなければ… 研ちゃんの足は酷い状態だし 間もなく戦争が始まる… 夢中で走った。 時間が欲しい。 神様!研ちゃんだけで良い…どうかお守り下さい!! 何度も転びながらようやく湖の反対側に辿り着いた。 異様な空気が辺りに充満して、粒子が縒(よ)り集まる気配がする。
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