正義とは?

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「哀れだな、その幻想に騙されて」 「何を知ったような口を!?」  犯人の挑発に僕は落ち着きつつあった怒りが再度沸騰して犯人の顔面を殴りつけた。犯人は転がるように座っていたパイプ椅子と共に地面を這いつくばった。そして犯人は震える両手で上体を辛うじて支えた状態で僕を睨み付けた。それはさっき以上に冷たく冷酷で恨みを含んだ視線で、身体が一瞬で凍りついた。 「ならば、新米。その正義で何人の人を犠牲にしてきた?」  犯人はまたもや予想外の質問をしてきた。正義による犠牲?そんなものこの世にあるわけないだろ!正義によって犠牲などこいつの方こそ幻想を見過ぎだ!そうこう考えている内に犯人は近くの壁に上体を預け座り込んでいた。それは度重なる拷問で弱っているとは思えない程、ふてぶてしかった。
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