裁判所における供述

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 突如判決を受けた男は両手をV字になるように高らかと挙げて全ての人の視線を集めた。そしてすぐに木の机に両手を叩きつけ大声をあげた。 「ここにいる奴は俺の財宝に興味があって来たんだろ?なら、教えれやるさ。宝の在処をよ」  男はさっきまでの従順な仔羊の姿から大胆不敵な怪盗王の雰囲気を醸し出していた。警官はすぐに男を取り押さえようとする。だが、男は警官四人に抑えられてもそれでも言い続けた。何かそこに信念でもあるかのように。 「俺の財宝はこの世の果てに忘れてきた。探せ!そこに世界がある」  男は言い終わると糸が切れた人形のように警官に屈した。そしてその訳の分からない供述によって多くの冒険家が旅に出た。その影響で多くの若者が冒険家志望となりまさに大冒険家時代になってしまった。何て人騒がせで時代錯誤的な現象だ!
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