三十年後

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「私は、文字通りすべてを研究に捧げました」 「はい?」  唐突な発言に、彼女は奇異の眼を隠せない。 「友も、妻も子供も、地異と名誉と金も、すべてを投げうちました。それでもまだ足りないのです」  彼女は眼を通していたプリントを落とした。彼女の眼の向こう側には、狂気と共存するしかなかった哀れな男の末路が映っていた。
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