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2話 おはよう?
「おはよう」
トスっとタツヤを後ろからチョップしてきたこの人物こそタツヤのパートナー「ナツキ」である。
タツヤが振り返ると悪びれる様子もなく相変わらず冷めた目でタツヤを見下ろしている歳は18位の女の子が立っていた。
-ナツキは黒髪のロングでその顔の造形は一切のムダがなく大きく吸い込まれるような赤い瞳だったり、高く筋の通った鼻だったり、みずみずしい唇だったりとかとりあえず誰がどう見ても美少女って評価をいただけるであろう女の子なのである。
「...お、おう...座れよ...」
なぜだかタツヤは恥ずかしくなりさっきまでの怒りも忘れて水を飲み干した。
「...ふぅー、で、今日の依頼は?」
ナツキは何も無かったかのように仕事の話へ入る。
タツヤとナツキが仕事に行く時は大抵タツヤが依頼を決めることになっている。これは二人の中で特に決めたことではなく気づけばそうなっていた。
「あぁ...今日はなこれにしようか思っててな」
ナツキが来る前に探しておいた自分たちができる難易度で尚且つ報酬の良い依頼の情報をナツキの仮想デバイスに送る。ナツキは一通りうんうん言いながら依頼情報を見たあと
「うん、これならできるかも」と、応えた。
「決まりだな。さぁ行くか」
やる気満々なタツヤに対してナツキは眠たそうに欠伸をしている。
2人は受付で依頼を正式に受注するとギルド前にある「転移ポイント」から最寄りの「始まりの草原」の転移ポイントまでワープした。
始まりの草原の転移ポイント周辺には冒険者たちに回復アイテムや武器などの補給する店やエネミーが街に侵入することを塞ぐための防壁が建てられている。しかし、エネミーたちもプレイヤー達が一定数以上いると寄ってこないように設定されているために余程の高レベルエネミーじゃない限りそのようなことはありえない。
タツヤとナツキが門にデバイスをかざすと門が自動で開いた。
始まりの草原だからといってエネミーが弱いということは無い。油断すれば即あの世いきなのである。
「さぁ...始めるか...」
タツヤは少しの殺気を含んで呟いた。腰に掛けてあるカタナが淡いながら光を反射させている。
「うん。始めよう...。」
ナツキも覚悟を決めたという表情で草原を見晴らしている。
「「採集クエストを!」」
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