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鰻ターン① (彌砂)
『美しき王子と、王国に仕える召使い。
身分の違う2人の奇跡のラブストーリー。
今秋いよいよ開幕! coming soon!』
「……素敵……」
私は、ほぅ……っとため息を漏らした。
何を見て惚けているかって?
それは、先日この湖に落ちてきた巨大なパネル。
私は1日に何度もここへ来ては、素敵な王子様の姿を眺めている。
「おい、そこの!」
いつか、こんな素敵な人に会えたなら……
「そこの! 聞こえないのか!?」
いつか、素敵な恋を……
「だぁっ……! おい! 小娘!」
いきなり私と王子パネルの間に割って入ってきたのは――
人間の女の人だった。
正確には耳が鰭(ヒレ)だし、頬の部分と大事な部分には鱗もあるから完全な人間ではないけれど。
それでも私には無い手も足もある。
「ど、どちら様!?」
「ふぅ……やっと話が出来るな。私はこの湖に棲む“魔女”だ。凄いだろう。崇め奉れ」
「魔女……!?」
私は海で産まれ、この湖に移住してからもう6年経つけれど、姿はおろか噂話にも聞いたことがなかった。
信じ難いが、目の前にいるのだから信じるよりほかない。
「ふふん、驚いているな。無理もない。ところで、お前はいつもその人間のパネルを見ているな」
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