鰻ターン②〈彌砂〉

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私は意気揚々と、たまに足を縺れさせながらエントランスを潜った。 「おはようございます」 エントランスには受付があり、その受付カウンターに2人の女性の姿があった。 2人とも綺麗にメイクを施している。 髪もクルクルと巻かれていて美しい。 ……そういえば化粧道具1式が置いてあったが、面倒そうだったのでスルーしてきた。 つまり、私はスッピンだ。 髪は邪魔だったので、後ろに1つで結んであるのみ。 ちなみに選んだスーツはタイトスカートではなく、パンツスーツだ。 そのうちの1人に挨拶され、慌てて私も頭を下げた。 「おはようございやす! 新入社員の宇名田 真希っす。よろしくお願いしやす!」 ――完璧だ。 昨日までウナギだったとは誰も思うまい。 私は心の中でほくそ笑んだ。 だが、受付嬢の笑顔は引き攣っている。 何故だ。解せぬ。 「……ああ……新入社員の方ですね。直接部署の方へと伺っております。こちらへどうぞ」 私は女性の後ろを付いていった。 エレベーターとかいう鉄の箱に乗り、3階へ着くと右へ。 その廊下を突き当たりまで進み「こちらです。松野部長! 新入社員の宇名田さんお連れしました」と、言った。 「お、来よったな! おおきに!」 松野部長にそう言われると受付嬢は頭を下げ、元来た道を戻っていった。     
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