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安心する。
「顔色が悪いですね……ちょっと女子ロッカーで休ませて来ますね」
「ああ、ついでに宇名田さんのロッカーと制服も案内してやって。頼んだで」
「はい、お水飲む?」
1つ下の階にある女子ロッカーへ連れてこられると、そこにある長椅子へ座らされた。
「ありがとう……」
水の入った紙コップを受け取ると、一気に飲み干した。
「わかりますよ。緊張しますよね。私も最初の挨拶はガチガチに固まって……ふふふ。思い出すと恥ずかしいです」
ふふふ、と笑う日向さんから私は目が離せなかった。
なんという柔らかさ。
そして、いい匂いがする。大事な事なので2回言う。
「でも師匠……松野部長も言った通り、パイプライン部はいい人ばかりですよ」
日向さんが言うならそうなのだろう。
何故かこの人の事は信用できた。
実に不思議な人だ。
「……取って食われたり……しない?」
私の言葉に日向さんは一瞬、ポカンとしてから「しないですよ。ふふふ……宇名田さん美人さんですもんね。不安になるのはわかります」と、ふわふわと笑った。
ふふふ、ウフフ、と意味もなく微笑みあっていると、日向さんが唐突に叫んだ。
「あーー!」
ビクッ! と身体を強ばらせた私は、日向さんを凝視した。
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