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「ふふ、宇名田さんって美人なのに面白いですね。では、私は先に戻ります」
私は手渡された制服へ着替えると、言われた通りに部署へ戻った。
制服は、ブラウスにベスト、タイトスカートというものだった。
スカートは今まで避けてきたのに、ここへ来て履くことになるとは。
非常に動きづらい。
しかもタイトスカートだから、余計にだ。
人間の女の人は動きづらくないのだろうか。
「お、もう大丈夫なんか?」
私を見つけると、松野部長が心配そうに声をかけてきた。
「はい。大丈夫っす」
「ははは! なんで体育会系なん自分。ほな、自己紹介したってな」
再び視線を集める。
「宇名田 真希っす。わからないことだらけなんで色々教えてください」
そう言って頭をぺこりと下げると、パチパチと全員が拍手をしてくれた。
よくわからないが、なんだか嬉しい気持ちがうなぎ登りだ。
「ほな、“ウマキ”やな。今日からよろしく!」
ウマキ……?
なるほど。宇名田 真希だから、略してウマキか。
「松野部長、それじゃ鰻を卵で巻いたやつじゃないですか」
「!?」
なんてことを言うのだ!
またドキドキしてきたじゃないか!
落ち着けよ たかがあだ名だ 食われない
(ウマキ心の俳句。)
「あだ名で呼んだ方が早く溶け込めるやろ?」
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