鰻ターン②〈彌砂〉

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「まぁ……そうですけど。じゃあウマキちゃん、よろしくね。僕は樋口 正彦。正彦さんって呼んでくれていいよ」 と、少しばかり濃い顔をした男性が言った。 「私は清美って呼んで。誰も苗字で呼ばないから」 正彦さんの向かいのデスクに座る女性が言った。 この人はなんとなく不幸顔をしている。 昼ドラとかに出てきそうな2人だった。(魔女の入れ知恵) 「私はさっき紹介させてもらいましたけど、日向 桜です。ウマキちゃんの教育係やりますね。改めてよろしくお願いします、ふふ」 その他には男性が7名、次々に自己紹介をしていったが、はっきりいって覚えられなかった。 ウナギの脳みそを舐めてもらっては困る。……とても小さい。 その後、日向さん(皆からは日っちゃんと呼ばれているらしい)について、お茶汲みやら、コピーやらを教えてもらったのだが…… 「ええと。なるべく同じ量にした方がいいかな」 私が淹れたお茶は5つ。 そのすべてが、全く違う量で入れられていた。 表面張力でなんとか耐えているもの、1口で飲み終わってしまいそうなもの、半分しか入っていないもの、様々だ。 「え! ダメっすか?」 お茶なんて入っていればいいじゃないか。 「じゃあ、ちょっと見ててくださいね」 日っちゃんは、慣れた手つきでお茶を急須から注いでいく。     
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