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しかも、すべてが同じ量で入れられていた。
「ブラボー!」
私が覚えたての拍手をすると、日っちゃんは苦笑した。
「いえ、拍手して頂くほどのものでは……でも、ありがとうございます」
そして、可愛らしく頬を染めた。
いい匂いがする。
「では、次はコピーを。これを5部コピーして1箇所ホドメでお願いします」
「ホドメ?」
「あ、すみません。ホチキスで止める事です」
数分後、紙の端がバラバラのままホチキス止めされたものが、5部出来上がった。
「えっと。コピーされたばかりだと、静電気で紙がくっついちゃうので、こう……パラパラとしてからトントンして揃えるといいですよ?」
と、丁寧に教えてくれた。
日っちゃんがやり直してくれた書類は、それは綺麗に揃えられていた。
だが、こんなにも優しく丁寧に教えてくれるというのに、私がまともに出来たことは、ひとつもなかった。
「つ、疲れた……」
お昼の休憩時間、私と日っちゃんは社食に来ていた。
お腹が空いた。
海老や小魚をたらふく食べたい……
のに、そんなものはなかったので、仕方なく“本日のお魚定食”なるものを選んでみた。
周りを見ると、これを食べているのは男性ばかりだ。
「初日だもんね。ウマキちゃんはお仕事するの初めて?」
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